三月十一日(水)舊二月十七日(癸丑) 晴、暖かい

 

東日本大震災の日。 

終日讀書。今日もココがなんども胸に入りたがつて、ただ大きすぎるので、やさしく抱いてあげた。三匹がそれぞれ可愛い。癒されるといふより、氣持がやさしくなつていく。

 

アマゾンで、今夜は ロスト・ボディ“ を見る。原題は "El Curepo(遺體)" で、スペイン映畫。サスペンスながら展開にスピード感があり、見ごたえへがあつた。また、登場人物たちが使つてゐた、オーディオや、テープレコーダー、それにパソコンがみなSONYだつたのが目についた。

 


 

 

三月十二日(木)舊二月十八日(甲寅) 晴、暖かい

 

今日も晴れて暖かくなるといふので、古本散歩に出た。古本市が開かれてゐるのは、今日は高圓寺だけ。新御茶ノ水乘り換へで直行した。人出はふだんと變はりなし。 

西部古書會館も大勢の人がつめかけてゐたけれど、じつに充實してゐて、トイレ休憩とコーヒータイムをいれて二時間半もねばつてしまつた。一册づつ見て歩いたといつてもいいだらう。それほどいい本が揃つてゐた。結局、一箱宅配してもらふほどだつた!  

さらに、荻窪に行き、ささま書店をのぞいてから、吉祥寺經由で井の頭線、下北沢乘り換へで町田に行き、柿島屋に直行。 

ところが、四時半を回つてゐたけれど、中にはいつたら、なんと先客は一人きりであつた。この時間、いつもなら混雑してゐる、といふか、たばこの煙でもやつてゐるのだけれども、實に靜かで空氣が澄んでゐるのである。正面に鎭座ましますテレビも、觀客のゐない大相撲が映されてゐて、とても異樣な感じであつた。ぼくはいつもの上馬刺と冷や奴とご飯の小、それにジンジャエールを腹一杯堪能したが、歸る時までに三人の男客が入つてきただけだつた。おじさん、「コロナのせいでね」なんて、ぼそつと口にしてゐた。 

今日の歩數は、六三六〇歩。 

 

今日求めたものを目ぼしいものから順に記す(文庫は省く)。 

齋木一馬著作集1・2 『古記録の研究 上下』(吉川弘文館) 各四〇〇圓。これを見つけた時には、思はず聲が出てしまつた。四千圓かと思つたら四〇〇圓だつたのだ! これぞ掘出し物。 

相馬御風著 『復刻 良寬と貞心』(考古堂)。御風さんの良寬ものは見つけたら求めておくべし! 

龍澤克己著作集7 『仏教とキリスト教の根本問題』(法蔵館)。これが三〇〇圓とは! 

B・クローチェ著 『思考としての歴史と行動としての歴史』(未來社)。書名に惹かれた。 

西村隆夫著 『旅する益軒 「西北紀行」 山城・丹波・丹後・若狹・近江を巡る』(和泉書院)。これは 『養生訓』 の益軒の紀行解説本である。どんな旅をしたのだらう。 

『没後二三〇年・生誕二九〇年 安藤昌益 国際シンポジウム記録』(1993年現代農業臨時増刊 農文)。安藤昌益はつねにあたまの片隅に存在しつづけてゐる人物だが、ずつと謎のままである。 

古井由吉著 『仮往生伝試文』(河出書房新社)。これはときどき見かけてゐたのだが、讀む氣がしなかつた。ところが著者が最近亡くなつたこともあり、二〇〇圓だつたので求めてみた。以上、高圓寺にて。 

中瀬喜陽・長谷川興藏編 『南方熊楠アルバム』(八坂書房)。ささま書店にて。 

飯倉照平著 『南方熊楠』(岩波ジュニア新書)。町田のブックオフにて。この二册、手間暇かけて探せば發掘できるといふ見本みたいな貴重な本である。 

 

 佐々木 譲著 『真夏の雷管』 讀了。道警シリーズは、讀書の友によるとあと二册出るやうだけれども、文庫本ではこの八册まで。 

つづいて、先日讀んだ 『童の神』 が面白かつたので、同じ今村翔吾著 『くらまし屋稼業』(ハルキ文庫) を讀みはじめる。

 

 

三月十三日(金)舊二月十九日(乙卯) 晴のち曇り

 

『くらまし屋稼業』 讀了。ふ~む、よくない。人物が浮び上がつてこないだけでなく、筋を追つてゐるだけのやう、細部が生き生きと描かれてゐないのだ。 

つづいて、先日求めた 森 詠著 『風神剣始末 走れ、半兵衛』 (実業之日本社文庫)  を讀みはじめる。くらべてみると、森 詠さんのはうは、讀んでゐてすぐに情景が浮かんでくる。むろん人物も生きてゐる。 

 

ネットの投稿記事を見てゐたら、今回の新型肺炎騒ぎによる、株價下落に關連して 

「政権に忖度する大臣、議員、官僚のためではなく、国民のための政策を希望します。大企業優遇から国民優遇への方針転換を望みます。所得税減税、消費税の減税、法人税増税、日銀の株買支え停止。お利口さんの安倍・黒田コンビが膨らませた大企業の膨大な内部留保は企業に使い道が無いようなので年金財政に還元させる法案成立を希望します」とあつた。また、 

「安倍晋三はモリカケ、桜、公文書の隠蔽・捏造・改竄などの不祥事の数々によって日本を地獄に落した 『憲政史上最長・最悪・最低の総理』 として、後世の歴史に名を残すだろう」ともあつた。その通りだと思つた! 

 

 

三月十四日(土)舊二月廿日(丙辰) 雨、午後雪

 

今日はまた寒くて、からだの末端が冷たかつた。指先はもとより、鼻、耳、頬までも冷えてしまひ、猫たちを抱いてゐてもあたたまらないので、午後はベッドに入つて讀書。『走れ、半兵衛』 を讀むが、うとうとして進まず。體調もいまいちだ。 

 

雪まで降つたのに、今日東京のサクラが開花したといふ宣言が出された!

 

 

三月十五日(日)舊二月廿一日(丁巳) くもり

 

昨夜、森 詠著 『風神剣始末 走れ、半兵衛』 讀了。 

佐々木 譲の、實際に起こつた事件や起こるかも知れない事件を基にした、はらはらどきどきの小説にたいして、眞反對とも言へる、荒唐無稽ではあるが、血湧き肉躍る物語も捨てたもんぢやあない。 

 

今朝、NHK Eテレの 〈日曜美術館〉 で、「渡辺崋山 リアルな肖像画の傑作・写生の名手の迫真の絵」 を見た。むろん繪のはなしがほとんどだが、その生涯の要點にも觸れてゐて、渡邊崋山への興味がぐぐつとふくらんでしまつた。渡邊崋山は、森銑三さんが日本人のなかで最も大好きで尊敬する人物としてあげてゐる人で、ちよいと本棚を探つてみたら、森さんの著書 『渡邊崋山』(中公文庫) をはじめ、關連書がすぐに十數册みつかつた。 

 

『渡辺崋山 高野長英』(日本の名著 中央公論社) をはじめ、石川 淳著 『渡邊崋山』(筑摩叢書)、芳賀 徹著 『渡辺崋山―優しい旅びと』(朝日新聞社)、杉浦明平著 『崋山探索』(河出書房新社) など。新しいところでは、ドナルド・キーンさんの 『渡辺崋山』(新潮社) もある。いつかは讀まなければならないと思ひつづけて幾星霜。

 

日本といふ國は、どうして有能なる人材を活かさうとせず、つぶしてしまふのだらう。國の將來ため、社會のため、人々のために生かしたら、さぞ豐かで潤ひのある國になると思ふのだが、用ゐやうともしない。この渡邊崋山もその犠牲者の一人である。ぼくが惹かれる人物は、たいがいが、悲慘な最期を迎へたり、日陰の人生を送つてゐる人物である。熊楠もさうであつた。さう言ふ意味でかたよつてゐるのかもしれない。

 

 

三月一日~十五日 「讀書の旅」 ・・・』は和本及び變體假名・漢文)

 

三月一日 佐々木 譲著 『警察庁から来た男』 (ハルキ文庫) 

三月三日 佐々木 譲著 『警官の紋章』 (ハルキ文庫) 

三月四日 佐々木 譲著 『巡査の休日』 (ハルキ文庫) 

三月六日 佐々木 譲著 『密売人』 (ハルキ文庫) 

三月七日 佐々木 譲著 『人質』 (ハルキ文庫) 

三月十日 佐々木 譲著 『憂いなき街』 (ハルキ文庫) 

三月十二日 佐々木 譲著 『真夏の雷管』 (ハルキ文庫) 

三月十三日 今村翔吾著 『くらまし屋稼業』 (ハルキ文庫) 

三月十四日 森 詠著 『風神剣始末 走れ、半兵衛』 (実業之日本社文庫)