月十六日(日)舊六月廿七日(辛卯) 晴、暑い

 

暑いし食欲もなく、たうぜんのやうに體重がへつてきた。それに、毎日の記録も、書きとめておかうといふ氣力がなくなつてきた感じがする。

 

『宇治拾遺物語 卷第九』 讀了。この卷はあまり面白くなかつたが、とくに第四話 〈くうすけが佛供養の事〉 は不快だつた。讀んでゐて、毛倉野生活で唯一不愉快なめにあつたことがまざまざと思ひうかび、讀むに耐へなかつた。

毛倉野の生活では、結婚式はAGKとラフォーレ修善寺へ出かけて行つておこなつてゐたけれど、ときどき他の方にたのまれて行ふこともあつた。うれしかつたのは、同じ毛倉野の住民のお二方と下賀茂の洋品店の娘さんの擧式をしてあげられたことだつたけれども、それがびつくり! 當然打ち合はせやら、下見やらでなんども式場となる場所をたずねたりもした。が、かんじんの式が終るやいなや、この説話のことばをそのまま用ゐれば、「さらば歸らせ給へ」 と云はれてすごすごと歸つて來ざるを得なかたつたことだ。できれば思ひ出したくなかつた。

 

 

八月十七日(月)舊六月廿八日(壬辰) 晴、暑い

 

昨夜、『愛憎の檻』 がよみ終り、つづいてシリーズ完結篇の 『人間の檻』 に入る。

 

今日はまた、南柏驛前ビルではじまつた古本市にでかけた。小さな市だが、古本散歩にはちやうどいい。だから、買ひ込むつもりはなく、求めたのは一册のみ。藤沢周平の著作は文庫本ですべて揃へたつもりだつたのだが、最後のエッセイ集 『帰省』(文春文庫) は忘れてゐたやうで、目についたときにあれと思つたのだつた。歸宅してしらべたら、たしかに求め忘れてゐたことがわかつた。

古本市には一時間ほどゐて、となりの柏に移動し、食欲がなかつたけれど、どうにか担々麺をいただいて力をつけた。さらに東武線で新鎌ヶ谷驛まで乘り、先日たずねたなんとかモールでひと休み。その時とは逆コースで、北総線と京成線でお花茶屋驛下車。そこから歩いて歸宅した。なにせ炎天下、暑くて足をひきずるやうだつたけれど、どうにかわがやにたどりついた。

今日の歩數は、それでも、六六一〇歩であつた。

 

また、先日求めた、小松英雄著 『徒然草抜書』 を數日前からよみはじめた。といつても本格的に 『徒然草』 をよむためではなく、まるで「推理小説のようだ」と批評されてゐる小松先生の論述そのものに引き込まれたといつてよい。數年前から小松先生のには絶えず知的刺激を受けてゐるが、まあ、毎日でなくても、ついでに 『徒然草』 の傳本の復刻本をかたはらに、少しづつよんでいきたい。

 

 

八月十八日(火)舊六月廿九日(癸巳) 晴、今日も暑い

 

今日も讀書。『人間の檻』 讀了。なんと言つてもよませるし、おもしろかつた。とくに、ぼくは二册目の 『風雪の檻』 がよかつたやうにおもふ。

 

食欲がない。食べても味がしないのではないけれど、美味しくないのである。それを無理に口に入れようとすると、吐き氣がすることだ。ついに體重が五八キロ臺まで減つてしまつた。

明日は通院日なので、熱は平熱だが、ついでにコロナの檢査をしてもらひたいけれど、どうなんだらう。

 

 

八月十九日(水)舊七月朔日(甲午・朔) 晴

 

今日は慈惠醫大病院への通院日。みか先生の診察は、通常なら火曜日の午前中なのだが、今回は、特別に、エコー檢査とペースメーカー外來がかさなつた今日の午後に回してくれたのだつた。さうすれば、一日で三つの豫定がすませられるからであり、エコー檢査の結果も當日みることができるからであつた。

その結果、エコー檢査では、いくつかの點で 「前回より改善」、「やや改善」 が、「やや悪い」 を上まはつてゐた。いいとしなければならぬやうだ。ところが、血液檢査のはうでは、カリウムの値が先月よりも下がり、先生、これ以上はあぶないですとおつしやる。で、半分のむのをやめてしまつたクスリを處方のとおりに服用すること(ただ、これには食欲不振といふ副作用がある)と、排尿をうながすクスリの一部をやめ、そしてカリウム含有量の多い食品を食べることをすすめられた。

外來の受付で、萬一のことを考へて、コロナの檢査を受けたいけれどとお聞きしたら、保健所行くように言はれた! ええ、ここは病院でせうに、とつい言ひたくなつた。

 

歸路、神保町に寄つたけれどただながめ歩いただけ。夕方ちかくになつたので、目の前のボンディに入り、ひさびさにビーフカレーをいただいた。さういへば、いつもは行列ができてゐて入れなかつたのだが、このごろはお客が少ないらしい。鹽分過多だなとおもひながらも、口にあふものを食べるしかない。たしかに、許容鹽分一日六グラムにしては過多だつたかもしれないが、おいしく食べられたので悔いはない。

今日の歩數、六五〇〇歩。

 

外出の今日は、新書本の 『院政 もうひとつの天皇制』 を持つて出た。先日讀んだ 『藤原賴通の時代』 よりわかりやすく、しかも「鎌倉後期の院政」まであつかつてゐる。

歸宅後、カリウムをふくむ食品を檢索したら、ぼくの好みでは、乾燥あんずに乾燥いちじく、それに干し柿と干しぶどうがあつた。

 

*ボンディのビーフカレーと関屋驛通過中のスカイライナー 

 


 

 

八月廿日(木)舊六月卅日(甲午) 晴

 

終日讀書。ただし、午前中はねころんでうとうと。午後は、ねこ部屋のソファーでこれまたうとうとで、よめたのはわづか。

それでも、『院政』 とともに、『源氏物語〈若菜上〉』 もすこしづつよみ進む。光源氏が、朱雀院に泣きつかれ、「女三宮といふ内親王」をもらはざるをえなくなつたそのことを、最愛の紫上に語る場面である。いよいよ緊張感が高まつてくる。

ただ、「毛倉野日記」 の書寫がすすまない。

 

 

 

八月一日~卅一日 「讀書の旅」 ・・・』は和本及び變體假名・漢文)

 

一日 外山滋比古著 『「読み」の整理学』 (ちくま文庫)

三日 藤沢周平著 『驟り雨』 (新潮文庫) 再讀

七日 藤沢周平著 『橋ものがたり』 (新潮文庫) 再讀

九日 藤沢周平著 『霧の果て 神谷玄次郎捕物控』 (新潮文庫) 再々讀

十日 高嶋哲夫著 『トルーマン・レター』 (集英社文庫)

十一日 高嶋哲夫著 『サザンクロスの翼』 (文春文庫)

十四日 藤沢周平著 『春秋の檻 獄医立花登手控え』 (講談社文庫)再讀

十五日 藤沢周平著 『風雪の檻 獄医立花登手控え②』 (講談社文庫)再讀

十六日 藤沢周平著 『愛憎の檻 獄医立花登手控え③』 (講談社文庫)再讀

十六日 『宇治拾遺物語 卷第九』 (第一話~第八話)

十八日 藤沢周平著 『人間の檻 獄医立花登手控え④』 (講談社文庫)再讀