八月卅日(土)戊寅(舊七月十七日・大安・望 終日小雨

 

樂しいお散歩、行つてまゐりました。それも、思ひがけず妻と一緒にでした。折角ですから、少し家を早く出てどこかで晝食をとらうといふことにしたら、妻が、押上驛の例のツリービルの中に銀座天龍が入つてゐるといふのです。それで、靑砥驛で乘りかへ、押上驛まで行きました。そしてはじめてそのビルに上りましたけれど、まあすごい人、人、人でありました。しかも、その四階の食堂街のどの店も長蛇の列。まだしも天龍はすいてゐるはうで、それでも二十分は待つたでせうか。そのおかげで美味しいギョウザと高菜そばを一つづつ取つて、二人で半分づついただきました。それでも、ギョウザを一つ殘してしまひ、いかに食が細くなつたか、お互ひに顔を見合はせてしまひました!

いやいや、お散歩を忘れてゐたわけではありませんが、長居は無用、そのまま半藏門線に乘つて永田町驛まで行きました。行つたはいいのですが、しかし、外に出られないのです。つまり、大勢の人々が出口で詰まつて出られなかつたのです。そこで、議事堂からはいちばん遠い出口までもどつて地上に出ました。そこは靑山通りで、そばに「赤坂見附跡」がありました。

さて、そこから歩道傳ひにじわじわと議事堂に向かひました。それほど多くの人がゐたわけではなかつたので、國會圖書館前交差點までは難なく進むことができました。しかし、そこは、最初にめざした地下鐵からの出口にあたり、續々と人々が湧き出してくるのです。異樣な光景でした。

そこでぼくと妻は、渡れない、と言ふのは警察官がバリケードで封鎖してゐたからですが、押し出されてくる人たちとともに、交差點の眞ん中を縱斷して議事堂裏の歩道に立つことができました。あッ、言ひ忘れましたけれど、ずつとスピーカーを通してメッセージが流れ、またシュプレヒコールが響きわたつてゐました。

ぼくたちは、議事堂の裏を、総理官邸前交差點まで歩き、さらに議事堂正面方面に向かはうとしましたが、もう參加者の人々に埋め盡くされて、進めなくなりました。ちやうど乾いた石垣があつたのでそこに座り、流れてくるメッセージを聞き、シュプレヒコールに應へつつ留まつてゐました(今日の寫眞)

妻が隣に座つてゐた方と何やら話しはじめたので、聞くと、寝たきりのご主人を置いて參加したのださうです。七十数歳のご婦人です(今日の寫眞)。さう言へば、目の前の歩道には、高齢のご夫婦と思はしき方々が多く目につきます。親子づれも、若いカップルも、また、何やら鈴を振り振り早足で歩いてゆかれる女の方もをられます。これはただごとではないと思はざるを得ませんでしたね。しかも、小雨とは言へ、そぼ降る雨の中、みなさんよほどご自身のこととして受けとめてゐるのだなあと思ひました。

三時が過ぎたころ、妻が先に帰りました。野良猫と母が待つてゐるもので、仕方ありませんでした。ところが、集會のはうも、四時を過ぎると解散といふことになり、人の波が動きはじめました。でも、ぼくは、議事堂正面が見たくて、一人、逆らふやうにして、それはそれは遠回りでしたけれど近づいて行きました。その途中です。號外を配る人に出會ひ、一部手にしてビツクリしました。議事堂正面が人で埋め盡くされてゐる映像が目に飛び込んできたのであります(今日の寫眞)。

でも、實際に行つてみると、すでに多くの人は歸路につきつつありましたが、それでも正門前はまだまだ詰めかけた人々で身動きが出來ないほどでした。あちこちで、數人のグループごとに楽器を奏でながら大聲でシュプレヒコールをあげてゐました。ぼくもそばを通るときにはそれに應へて叫びました。とくにぐぐつときたのは、女子高校生がマイクを握つて、あいさつといふか、自分がなぜここに來たのかを自分の言葉で、口ごもりながらも、切々と訴へてゐる姿を見たときです(今日の寫眞)。

自民党議員、それと自民党にべつたりの公明党の議員といふのは、要するに、親分の言ふことにただ從ふしか能のない、まるですでに軍人なんですね。自分で考へることを放棄した、最も國會議員にふさはしくないおバカたちの集まりなんです。だれかが、「敵よりも馬鹿な上官のはうが恐い」と言つてゐましたけれど、これほどばかで狡猾な首相を選んでしまつたこの國に行く末は本當に危ふいです。そんなおバカたちをかばふかのやうに、重装備の機動隊と警察官が、ぼくたちをにらみつけてゐました。

さう、上官の命令をこれほど忠實に守れる議員たちですから、まづは率先して、自らがアメリカさんの戰爭のお手傳ひに行かれたらいいですね。それこそ國民を守る守るとなにかと言へば言つてゐたそのための法律を作るんですから、まづは出向いてもらひませう。きつと、法案は通るとふんでゐるんでせうから、覺悟はしてほしいです。

さう、ぼくは、それから歸路につきまして、銀座に出ました。いや、また天龍に行くためではありません。敎文館に行つて、例の、『アッシジの聖フランシスコの平和の祈り』のカードを求めるためでしたが、やはり文語譯はありませんでした。せつかくなので、キリスト教書賣場を覗きました。實に久しぶりです。文語譯の小型の新約聖書がないかなと店員さんに聞いたら、ないやうでした。でも、岩波文庫で出てゐるんですね。新刊書店にはほとんど行かないので知りませんでした。

 

今日の寫眞・・押上の天龍。妻とシュプレヒコールに應へる! 以下、抗議行動の樣子です。明日も寫眞を添付します。乞ふ御期待!

 





コメント: 0