三月九日(日)己卯(旧二月九日) 晴れ、わずかながらも暖かい 

森鴎外著『大鹽平八郎』(岩波文庫)を読み終へました。大正二年十二月七日に脱稿し、翌三年一月の「中央公論」に掲載されたもので、鴎外五十二歳の時の執筆ださうです。その他にも多くの歴史小説を書いてゐる時期のものですね。

面白いと思つたのは、鴎外が大鹽平八郎の事を調べて見ようと思ひ立つた経緯です。友人から借りた『大阪大鹽平八郎萬記録』を見たときに、「其中から史實を選み出さうとして見ると、獲ものは頗乏しい。併し記事が穴だらけなだけに、私はそれに空想を刺激せられた」といふ件(くだり)です。たしかに、「穴だらけ」を埋めていく面白さはあるでせうね。歴史家の多くは同じ思ひかも知れません。さらに、鴎外は、当時すでに出版されてゐた、幸田成友著『大鹽平八郎』を参考にしてゐます。ぼくもつい先日、ネット注文で、中公文庫版(二七八円)を入手したところですが、鴎外に言はせると、「大鹽に關した書籍の中で、一番多くの史料を使つて、一番精しく書いてある」書物なんです。門真市史資料集の『野口家文書 大塩事件関係史料』を読みはじめたばかりなのに、また宿題ができてしまひました。

 

ところで、昨日受けた連絡が二つありました。

一つは、トラベル日本の山寺さんから、「中仙道を歩く」の予定変更のお知らせでした。それによると、碓氷峠が大雪のため、順番を変へて、四月予定の〈軽井沢宿から小田井宿〉を三月に歩き、碓氷峠越えは四月に変更するといふ連絡です。まあ、仕方ないとは思ひますが、ちよつと、気分的には残念ですね!

もう一つは、「いくいく会」の森さんから、現在中仙道を歩いてゐる「仙道会」との、合同の《歴史散策会》のお知らせが届いたことです。前回、一月卅一日には、築地界隈二十か所を訪ね歩きましたが、今度も面白過ぎさうです! 曰く・・。

 

~江戸から明治への築地界隈の散策~ 

    記   

1、4月4日 (金) 小雨決行

2、集合場所  東京メトロ築地駅 本願寺口 改札口前

3、集合時間  14時 揃い次第出発

4、行  程  泉さんにお任せですが、16時半~17時には、銀座ライオンビヤホールに到着し、建物等について、支配人から説明をして いただくことになっているとのこと。

 

以上ですが、やはり泉お姉さまはただ者ではありませんね。見学場所は、前回と同様、二十か所くらゐ、ご丁寧に「地図」まで付けてくださつてゐます。それによると、築地から銀座、そして浜離宮あたりまで含まれるやうであります。また、詳細については、当日、泉さんが作成した案内書をくださるとのことですが、いやはや、少しは予備知識を得ておかなければなりません。

 

今日の写真:けふのラム。幸田成友著『大塩平八郎』。築地・銀座界隈の地図。